パレード/吉田修一/もう一度読みたくなる [書籍]
最近読んだ小説などを。
ここ2,3ヶ月、エッセイなど軽い読み物ばかりで読書らしい読書はしてません。
週一冊くらいは読める余裕が欲しいものです。
都内の2LDKマンションに暮らは男女四人の若者達。「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいが丁度いい」。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。そこに男娼をするサトルが加わり、徐々に小さな波紋が広がり始め…。発売直後から各紙誌の絶賛を浴びた、第15回山本周五郎賞受賞作。
吉田修一の作品は初めて。芥川賞作家だったんですね(知りませんでした…)。
以下勝手な読書感想文。ちょいネタばれあるかも。
「パレード」は5つの章から成り、各章で登場人物5人の視点から物語が描かれる。
登場人物各々の一人称語りで話が進められる手法はミステリなどでよく見ますかね。
そういえば昔”財布の視点”から語られるというユニークなミステリを読んだことあったけど
誰の何て小説だったっけかな。東野圭吾か宮部みゆきだと思うんだけど。
こわい小説だ、なんて評価される事も多いらしいこの「パレード」。僕の場合不幸にも
本屋で”最後にとんでもないドンデン返しが…”というタネあかし的なPOPを
見てしまっていたので、途中で読みながら結末の想像がついてしまった。
前半から中盤にかけてほとんど目立たない伊原直輝が最終第5章を飾るあたりが
怪しかったっつーか。ちょい残念っす…。
しかしこの小説は犯人探しのミステリではありません。POPを目にせず結末のドンデン
返し(?)に多少驚いたとしても僕にとっては単なるスパイスに過ぎず最終章を”こわい”
とは感じなかったかも。描写はちょっとアレですけど。なんとなく第一章から順々に、
マンションで共同生活しバランスを保つために”演じている自分”と、様々な悩みや不安を
抱え決して他の住人には見せない”本当の自分”のギャップが大きくなっていく気が
していて、伊原直輝はそのギャップが非常に極端なケースであるだけだと。極端過ぎ!
学校でも職場でも皆程度の差はあれ共同生活や環境がスムーズに成り立つため
”自分の役割”を演じているとも言える。ちょっと語弊があるかな?でも相手とうまく距離を
調整し合いながら生活している。人間関係なんてその場での役割を演じ合う「パレード」
でしかない。一見居心地の良い人間関係でありながら実はそこに彼らの本質などない
のだ。逆に「パレード」に参加するためには自分を演じ続けなければならず、自分を
さらけ出すという逸脱は許されないのである…。なーんて事を読みながら考えてしまって
いたあたり、やはり”こわい小説”なのかもしれません。うーむ。
それにしても登場人物5人の人物像とエピソードはどれも魅力的で一気に読ませます。
文体もわかりやすくて読みやすく、読書リハビリにはちょうど良し!吉田修一の他の
作品も興味が出てきました。でもその前に「パレード」をもう一度読んでみよっかな。
うん、二度は読み返したくなる小説ですね。
宮部みゆきの『長い長い殺人』ですね。
帰ったら読み返してみようっと。
今日も雪がちらほら。。。
本日ドイチュを後にする予定です。
寒かったー
by よこぴー@ニュルンベルグ (2005-12-18 18:02)
そーだそーだ『長い長い殺人』だ。
あ、すんませんそれウチにあるかもしれん。
ドイチュは寒そうですね。千葉も寒かったが比じゃないだろうなぁ。
いちお僕も学生時代イッヒ レルネ ドイチュで喉ひこ震わせましたが、
全く何の役にも立っておりません。
by kasokage (2005-12-18 18:53)