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ねじまき鳥クロニクル<第3部>鳥刺し男編/村上春樹 [書籍]

ねじまき鳥クロニクル3部作やっと読み終わったどー。

結局一ヶ月以上もこのシリーズを持ち歩いてしまった…。もし『ねじまき鳥~』が一冊の
ぶ厚い本だったら絶対読むのを挫折していただろうな。日頃、読書をするための集中した
時間は取らずに、ちょっとした待ち時間とか寝る前の数分に本を開く程度だ。

学生時代は通学に二時間も要したが電車に始発から乗り座ってしまえばそれなりに
読書に時間を費やせた。車通勤の快適さに慣れてしまったため、もう電車通いには戻り
たくないけどあれはあれで貴重な時間であったようだ。通勤電車での勉強だけで資格
取得してしまう人も結構いるらしいし。(言うほど読んでないけど)

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 文庫

僕は少しずつ核心に近づいている。猫は戻る、笠原メイは遠い場所から手紙を書き続ける、間宮中尉はもうひとつの秘密を打ち明ける。ねじまき鳥に導かれた謎の迷宮への旅。第3部完結編。

全編通して時代も場所も全くバラバラなエピソードや登場人物の手紙によって継ぎはぎ
の様に進められていく。各エピソードが主人公に与えられた運命っつーか試練にどうリンク
してくるのかを追いながら読んでいたのだが最後までわかったようなわからんような読後感
もあまりよろしくない感じ(笑)。この本が発売された当時、謎が多い小説と謳われていて
友達に「コレ意味わかんねーから読んで解説しろ」と本を渡された。明らかに人選ミスだと
つき返したけどその判断は間違っていなかったようだ。今読んでもよくわからんのね。

でも各エピソードは面白い…のだけど描写が迫力あるというか容赦ないというか凄惨すぎ。
ノモンハンでの拷問、満州の動物園での猛獣虐殺、中国人をバットで撲殺する日本兵、
シベリア収容所でのボリスの圧政…などなど。現在の岡田トオルを描くのとは明らかに
異なる文体でとても同じ小説にあるエピソードとは思えない。巻末に参考文献として一冊の
本と論文を挙げていたけど相当取材したんだろうなぁ。まぁ戦争の悲惨さは十分に伝わって
きた(反戦小説として読めなくもないほど)。そういやオウム地下鉄サリン事件の被害者を
村上春樹自身が自分の足で取材しまとめた『アンダーグラウンド』も面白かった。多才である。

この小説のなかで”井戸”は大変重要な役割をはたしていて、暗く閉ざされた”井戸”に
降りることは自分の無意識の中に潜っていくことであり、またクミコの夢への扉となっている。
うーむ。確かフロイトが無意識とか夢とか言ってたよな。…”イド(エス)”にかけちゃったかな?
ってダジャレかよ!みたいな。

(※)精神分析の構造論における無意識的衝動の源泉。ドイツ語では Es = それ。
イドはラテン語の「それ」。(byはてなダイアリー)

ねじまき鳥クロニクル、面白かったけど長くて疲れた。
次は薄い本読も。


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コメント 6

k-ta

クロニクルおもしろかったよ(顔)
綿谷とクレタが!
by k-ta (2005-06-07 23:29) 

kasokage

k-taさん(圭太さん?)はじめまして。
クロニクル、僕はちと時間をかけ過ぎました。
もっと一気に読むべきだったなぁ。

確かにパソコン通信など時代を感じさせる小説ですねぇ。
ちなみに綿谷と牛河、嫌いではないです(w
by kasokage (2005-06-07 23:58) 

noho_hon

当ブログにきていただいて、本当にありがとうございました。
(ご挨拶が遅れて、すみません)
作品を見て興味をもち、検索で、こちらのサイトを知りました。そして、読んでると、うんと面白かったので、思わず先にTBさせていただきました。
私もバイオレンス描写には百万光年、ひいてしまったクチ。でも、それ以外の部分に魅力満載なので、「そして、どうなるの?」と、やめられなかったんですよね。これからも、よろしくお願いします
by noho_hon (2005-06-29 08:41) 

kasokage

noho_honさんようこそです。
村上春樹作品では『ねじまき鳥クロニクル』も面白かったのですが、『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』の方がぐっとあの世界に浸れました。一気に読めましたね(時間もあった)。現在『海辺のカフカ』を読むかどうか悩んでいるところです。村上春樹はいささか食傷ぎみでして…(笑)
これからもよろしくどーぞ!
by kasokage (2005-06-29 23:39) 

とりカシュ

『ねじまき鳥』で食傷気味の後に『カフカ』はきついかも。あれも謎が多いですし。
最近出た短編集『東京奇譚集』は軽めで読みやすかったですよ。村上春樹っぽさ満載ですけどねw
by とりカシュ (2005-11-29 04:29) 

kasokage

とりカシュさんも村上春樹読まれるんですね~。『海辺のカフカ』は未だに読まずに放置されています。いかんいかん。『東京奇譚集』読んでみますね。ありがとうございます!
by kasokage (2005-11-29 22:17) 

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