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友へ/書きなぐり日記 [その他]

6月6日は友人の命日である。

大学4年の時同じ研究室に所属していた女の子。成績は二人とも常に地面すれすれの超低空飛行を続けていたが、数単位の差で僕は他大学の院へ進学をし、彼女は二回目の4年生として研究室に残った。院進学後間もなく僕は目が見えなくなるという病気にかかり入院してしまうのだが、誰にも教えてないはずなのに最初にお見舞いに来てくれたのが彼女だった。埼玉からわざわざ千葉まで。暗い喫煙室で煙草を数本吸って帰っていった。失明した彼女の母親の話を聞かせてくれた。まさかそれが最後の会話になるとは思ってもみなかった。僕は退院の連絡すらしてなかった。

それからわずか一ヵ月後。知らせが届いた時、僕は大学の友人と旅行に行っていて、大きなバッグを抱えたまま病院に直行した。いつもと変わらない綺麗な顔で横たわっている。あまり現実感がなかった。火葬場でお骨を拾った時、研究室の先輩が「こんなに小さくなっちまった」とつぶやき、やっと彼女の死を理解した。

あれから8年の月日が経つ。僕は大学院中退後なんとか仕事に就き、今では家庭を持っている。幸せだとしか言いようがない。時間とは残酷なもので、当時は吐いてしまうほど嘆き悲しみ、後悔しまくり、毎晩夢にまで出てきたものだが、今では一年でこの時期ぐらいしか思い出すことがなくなってしまった。いや時間のせいではなく、僕が単に薄情なだけなのかもしれない。お見舞いのお礼すら本人に伝えてないんだし。こんな日記を書いてしまうのも彼女への罪滅ぼしというわけではないが、アホだけど優しかった奴に、「忘れてないよ」と言いたいだけなんだろうな。あっちはとっくに忘れてるかもしれないけども。


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