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小さき者へ/カレー食べながら [書籍]

ひさしぶりにゆっくりと読書。

小さき者へ

小さき者へ

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 文庫

僕が”小さき者”だった頃を本の中に登場する子供に重ねたり、いずれ自分にも訪れるであろう父親と成長した娘の姿を想像しつつ読んでいくのだろう、と思いきや読んでる最中は自分自身のことはまったく考えてなかった。

収録されている六篇のなかで印象に残ったのは「青あざのトナカイ」。どうも僕は”挫折→反発→受容→歩き出す”みたいな構図に弱いみたいだ。もしかしたら”歩き出す”がなくて”受容”で終わってもいいかもしれない。挫折は救われない度が高いほどいい(やっぱMだな)。上原隆の『友がみな我よりえらく見える日は』とか『喜びは悲しみのあとに』もそういったルポが多くて好きなんですけども、まあまあいい加減この嗜好もどうかと思いますが好きなんだから仕方ない。

 時間が癒してくれる、というのも少し違うような気がする。
 ずうっと、一生、残るのかもしれない。しかたない。負けは、負けだ。
 だが、「負け」と「終わり」とは、違う。
 違っていてほしい――と思う。

気になった一節。「負け」と「終わり」とは違うんだ、と言い切らずに違っていてほしいと前向きながらも弱々しいのがいいじゃないか。共感です。

「青あざ~」の主人公は脱サラ後とあるチェーン店の店長になり経営に失敗してしまうのだが、ちょうどこれ読んでいる時ココ壱でカレーを食べてたので、なんとなくベーコンサラダを追加注文してしまった。一話読み終わるまで長居してしまったおわびの意味も込めて。

重松清は『ナイフ』以来だったが面白かった。子供とか家族を描かせたら上手いすね。『小さき者へ』は、物語の中に登場する父親像と自分を照らし合わせた読み方は出来なかったが5年後、10年後読み返してみたら感想はまた違ったものになりそうだ。


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