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ここ最近一番面白かった本/フェルマーの最終定理 [書籍]

あー面白かった。
寝る間を惜しんでまで読まされてしまう超迷惑作品(?)なのでここにご紹介。

フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理

  • 作者: サイモン シン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 文庫

17世紀、ひとりの数学者が謎に満ちた言葉を残した。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」以後、あまりにも有名になったこの数学界最大の超難問「フェルマーの最終定理」への挑戦が始まったが―。天才数学者ワイルズの完全証明に至る波乱のドラマを軸に、3世紀に及ぶ数学者たちの苦闘を描く、感動の数学ノンフィクション。

”余白が狭すぎるのでここに記すことはできない”…っておいフェルマー(笑)!書けよ書いとけよー。このおっさんが遊び心か超天然なのかよくわからないけど、命題だけ残して証明を記さなかったばっかりになんと3世紀もの間数学者が頭を悩ますことになってしまった。3世紀ですよ!普通の感覚なら、半笑いでフェルマー嘘ついてんちゃうの、となりそうなとこだがそこは数学者。多くの数学者がこの命題を証明するために人生全てを捧げ、文字通り命を賭けて取り組んできたのです。振り向けば世紀の難題の前に敗北していった偉大な数学者達の屍の山。そんな奇人変人ロマン溢れる数学者のドラマがこの本に語られています。

高校の時誰かが「大学に入ったら物理は数学になり、化学は物理になり、数学は哲学になる」と言ってたのを思い出しました。数学は哲学になるとはどういう意味なんでしょ。本の中に「この命題は証明できない」というどのように考えてもパラドックスが生じてしまう命題が出てきます。もし命題が”偽”ならば「命題は証明できる」となるがそれは”偽”であるという前提と矛盾する。逆に命題が”真”ならば「証明できない」と証明出来てしまいやはり矛盾が生じる。他に「”3”とは何か」について定義した数学者も出てきたりして、なるほどこんな事ばっかり考えてたら哲学っぽい感じもします。”3”は”3”だよな!

あと予備校の数学の先生は「数学の勉強はした方がいいけど大学に受かりたいなら数学そのものにはのめり込むな」と教えてくれたっけ。実際僕の友人は”大学への数学”シリーズ『解法の探求Ⅱ』という微分積分に特化した参考書を解きながら、あまりの面白さに数学以外の科目が手に付かず「(数学は)魔性の女だ」と震えていました。どんだけだっつー。まあでも数学はそれだけ人の心をがっちり捕らえるくらい魅力があり中毒性が高いのかもしれません。

さて、僕にとって数学は単に受験のための道具でしかなく、というより数学本来の面白さがわかるほどの理解力があろうはずもなかったもので、今となっては数学のすの字もない生活を送っております。ですが!「フェルマーの最終定理」、これは面白かった。ともすると苦手意識を持たれ敬遠されがちな悪しき数学(?)を題材にして、ここまで魅力ある物語となったのは3世紀もの間証明されることのなかった超難問「フェルマーの最終定理」の存在と、果敢に挑戦した星の数ほどいるであろう奇人変人数学者達の執念、そして物語をまとめあげたサイモン・シンの筆力なんでしょうねー。

ちなみに「フェルマーの最終定理」とは―

3 以上の自然数 n について、

xn + yn = zn

となる 0 でない自然数 (x, y, z) の組み合わせがない

うーむ。異様にあっさりしてるなぁ。n=2ならばピタゴラスの定理が当てはまりますね。x=3,y=4,z=5とか。

文章を理解するだけなら誰でも出来るんですけどねぇ。証明するとなるととんでもなく難しくなるんですって。この難問を証明するのに大きく関わったのが”谷山・志村予想”という二人の日本人数学者が立てた予想だったそうです。唯一完全証明を果たしたワイルズは色々端折って言うならば「谷山・志村予想が正しければ、フェルマー予想は真である」という導き方をしていました。大きく関わったどころの話じゃないですよね?他の「フェルマーの最終定理」について書かれた本ではサイモン・シンほどこの二人の日本人数学者を取り上げることはなかったのだそうで、業績をしっかり称え偏見なく書ききってくれたサイモン・シンにはイチ日本人として感謝したいとこ。

とまあ「フェルマーの最終定理」の面白さを語るにはいささか余白が狭すぎて記すことも出来ないし僕にはその筆力もないわけだけど、読んで絶対損はさせない本ですね。残念かなタイトルが潔すぎるっつーか、数学に興味ある人しか飛びつかないような感じ。数学の知識なんて一切なくても感動が得られる良書なのでよかったら貸しますよー


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コメント 6

ダラッ妻

ヨビコーセイ時代に食卓のカレーライスをじっと見つめて、「ココを軸に回転させた場合の体積を求めていた…」と言われたときは正直『こいつ大丈夫か?!』と思ったものでした。
最近使わないね、サインコサイン。
by ダラッ妻 (2007-07-14 09:42) 

kasokage

あの頃は回してましたねー。カレーライスクラスに慣れておけば3次関数を回転させるくらいワケないんですよ(笑) 呪文のように唱えていたシンコスコスシンて何だっけ?
by kasokage (2007-07-16 15:18) 

ばるしゃん

♪サイン・コサイン何んになるぅ?オイラにゃぁオイラのぉ夢ぇがぁある。
(おなじみ?受験生ブルースby高石友也)
受験生二度ばるしゃん
by ばるしゃん (2007-07-18 19:50) 

kasokage

全然おなじみじゃなかったので(世代差?)歌詞検索した。
  ♪来年はきっと 歌ってるだろう 予備校の ブルースを
笑えました。
by kasokage (2007-07-19 20:21) 

ばるしゃん

え"~ッ!
歌ったことがなかったのかなぁ?
ひょっとしてキミ達の前ではreal過ぎて歌えなかったのかも…
♪ボクは悲しい受験生~
なんて。。。
by ばるしゃん (2007-07-20 22:18) 

ダラッ妻

知ってましたyo!
♪ひーとーよひとよにひとみ~ごろ
 ふじさんろーくにおうむなく
by ダラッ妻 (2007-07-21 00:17) 

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